防災知識

津波は走って逃げ切れる?秒速10mの脅威と今すぐ備えるべきこと

津波から走って逃げる
bosai

津波は、見えてからでは逃げ切れません。
時速36km〜800kmという信じられない速さで迫ってくる津波は、人の全力疾走と同じか、それ以上のスピード。
「見えたら逃げよう」では、ほとんどの場合、間に合わないのです。

本記事では、津波の速さの仕組みと、なぜ早期避難が命を守るカギなのかを、具体例とともにわかりやすく紹介します。
津波に対する誤解をなくし、「本当に必要な避難行動」を今、身につけましょう。

ぼうさいミケちゃん
ぼうさいミケちゃん

津波ってすごく速いって聞きますが、どれくらいなんでしょうか?
もし見えたら、走って逃げても間に合いませんか?

防災トラさん
防災トラさん

正直、間に合わないことがほとんど。
だからこそ、「見てから逃げる」はアウトなんだ。
今からちゃんと理由を話すね。

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見えてからじゃ遅い!津波の速さはどれくらいか知ってる?

ぼうさいミケちゃん
ぼうさいミケちゃん

津波の速さってどれくらいあるんですか?
本当に人が走っても追いつかれるくらい速いんでしょうか?

防災トラさん
防災トラさん

実はね、津波の速さは“海の深さ”で決まるんだ。
深海だと時速800km。陸に近づいてもオリンピック選手並みのスピードで迫ってくる。
そりゃ、走っても追いつかれるわけだよね。

深海ではジェット機並み!?津波は水深でスピードが変わる

ジェット機
ジェット機

津波のスピードは、水深が深いほど速くなります。
例えば:

・水深5000mの深海 → 時速約800km(ジェット機と同等)
・水深100m → 時速約110km
・水深50m → 時速約80km

これがどれほど速いかというと、新幹線どころか飛行機レベルのスピードです。
ただし、陸に近づくにつれて水深が浅くなり、速度は落ちていきます。

でも、それでもなお人間の全力疾走と同じか、それ以上の速さ。

沿岸でも時速36km以上!オリンピック選手と同じスピードで来る津波

津波が沿岸に近づくと、時速約34〜40km程度まで減速します。
とはいえこれは、人間が100mを10秒で走るオリンピック級の速度とほぼ同じ。
一般の人が避難中にこれと並走するのはまず無理です。

津波は“見えてから逃げる”のではなく、“見える前に逃げる”ことが命を守るカギになります。

実際に津波が到達する時間は震源からの距離にもよりますが、近ければ数分で到達することもあります。
揺れを感じたら即、避難を開始することが最優先です。

防災トラさんの一言
防災トラさんの一言

なぜ「津波が見えてから逃げる」では手遅れなのか?

ぼうさいミケちゃん
ぼうさいミケちゃん

地震が起きてから「津波が見えてから逃げよう」とするのは危険なんですか?
テレビでも「すぐに逃げて」と言われますが、そんなに違うんですか?

防災トラさん
防災トラさん

うん、全然違う。
津波はすでに見えた時点で、もうすぐそこにいると思ったほうがいい。
そのスピードを知れば、迷ってる時間はないって気づくはずだよ。

津波の目視確認は“最終警告”!見えた時点で逃げ場が無い可能性も

津波が視界に入るということは、すでに海岸のごく近くに来ているということ。
仮に時速36km(秒速10m)で迫ってきている場合、100メートル先に見えた津波はわずか10秒で到達します。

つまり、見えたら“もう目の前”というレベルで近いのです。
この状態からの避難は非常に危険で、間に合う可能性はほとんどありません。

警報や揺れで即避難!逃げ遅れを防ぐには「予兆」で動くしかない

津波に対して重要なのは、見てから逃げることではなく「予兆や警報に即反応する」こと。

・地震の揺れを感じたらすぐに高台へ
・津波警報・注意報が出たら迷わず避難開始
・「津波は来ない」と思わず、まず動く

これが“率先避難”の基本です。自分の判断が命を守ります。

「見てから逃げる」では命を守れません。
地震が起きたら、警報が出たら、すぐに逃げるという行動習慣を身につけましょう。

防災トラさんの一言
防災トラさんの一言

生き残る避難行動とは?命を守る「津波避難の三原則」

ぼうさいミケちゃん
ぼうさいミケちゃん

津波から逃げるとき、何を基準に考えたらいいですか?
とにかく高台に行けばいいんでしょうか?

防災トラさん
防災トラさん

それも正解。
でも、実は専門家が推奨する「津波避難の三原則」っていう行動指針があるんだ。
これがすごく実践的で命を守る鍵になる。

津波避難の三原則とは?釜石の奇跡が教えてくれた行動指針

東日本大震災で多くの命を救った行動、それがこの三原則です。

  1. 想定にとらわれるな
    ハザードマップに載っていない場所でも津波は来る可能性がある。
    「ここは安全」と思い込まないこと。
  2. 最善をつくせ
    避難した場所が危なそうなら、すぐに別の高台へ。
    とにかく最も安全な場所を目指す。
  3. 率先避難者たれ
    周囲が逃げていなくても自分から動く。
    自分の行動が周りの命も救うことになる。

これを実践していた釜石の子どもたちは、揺れた直後にすぐ避難し、多くが助かったと言われています。

日頃の備えも生死を分ける!避難先と経路を家族で共有しよう

地震はいつ来るかわかりません。
だからこそ、事前の準備が命を分けます。

・自宅や職場から一番近い高台や避難ビルを確認
・津波避難ルートを家族で話し合っておく
・夜間・雨天・渋滞時などの状況を想定した訓練をする

「どこに逃げるか」「どうやって逃げるか」を知っておくことが、迷わず行動できる力になります。

想定を超える災害が来る可能性は常にあります。
だからこそ、「今いる場所でどう動けるか」を常に考えておくことが大切です。

防災トラさんの一言
防災トラさんの一言

まとめ

津波の速さは、人が走って逃げ切れるレベルではありません。
深海では時速800km、陸に近づいても時速36kmほどで押し寄せ、見えてから逃げてもほぼ間に合わない速度です。

津波から命を守るために大切なのは、「見てから逃げる」のではなく「揺れや警報で即行動する」こと。
そして、「津波避難の三原則」を日頃から意識しておくことです。

自分の命、そして周りの命を守るために、“率先して逃げる”避難行動を今日から意識していきましょう。

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執筆者情報
防災トラさん
防災トラさん
防災士
災害対策のプロフェッショナル。様々な防災グッズにも詳しい虎猫さん。
日本防災士機構が認定する防災士。
2016年から防災に関わる企業に勤務中。 東日本でのボランティアも参加経験あり。

公式X:https://x.com/bosaitorasan
note:https://note.com/bosaitorasan
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